イトログ_012
2016年12月2日
イトログ

 

『ここは、ここ』

 

時折聞かれることがある。

 

「どうして長崎でやっているんですか?」だったり、「長崎を出る予定はないんですか?」だったり、場所に関する質問だ。

自分なりに噛み砕いて理解するところ、つまりは「なんで長崎みたいな田舎で、、」といったニュアンスだろう。

 

先に結論を言うと、出るつもりもないし、出ないつもりもない。

 

中には遠方から通って来てくれていて、もっと身近にカリオモンズのコーヒーを楽しめたらなという、ごく純粋な願いを込めて言ってくれる人もいて、それはそれでとても光栄だし嬉しいし励みにもなる。

素晴らしい作り手の手から生まれた素晴らしいコーヒーを、一人でも多くの人に体験してもらいたいと思う気持ちはずっと変わらないし、確かにもっと人が多いところでやれば広がるペースも早いのかもしれない。

 

けれど僕は日本の西の端・長崎にいる。

お店がある時津町は人口が3万人。渋谷のスクランブル交差点が10回も変われば全員が入れ替わってしまうほどの小さな街。

そんな場所でカリオモンズコーヒーは8年目を迎えている。

 

田舎だからできないとか、都会だから叶うとか、よく聞く台詞だけれどそんな言い訳は一切言いたくない。

良い人材が全て都会に出てしまうかというとそういうわけでもなくて、今のカリオモンズコーヒーのスタッフは全員が地元の出身だ。それでも経営者としてスタッフについてお褒めに与る機会も多い。僕自身もスタッフのことが大好きだし、将来的にそれぞれのキャリアにつながるたくさんの経験がこの場所でできればと常々考えている。

 

要は場所ではなくて環境なのだ。

そして環境がなければ作れば良いだけの話なのだと、この8年間で僕は体験し、学んだ。

 

悔しいけれど、売る意味でのビジネスとしては、田舎は確かに不利な条件だとは思う。

しかし、足をついたその土地で何を考えどう動き、どのようにして良い環境を作り出していくか、それこそがイノベーションだと僕は考える。

 

憧れを求めて都会に赴く時代はとうに終わった。

これからはそれぞれの地でどう在るか、この長崎にも確実にその波は押し寄せている。

 

 


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いとう ひろゆき

いとう ひろゆき

カリオモンズコーヒーロースター代表。主に毎年のコーヒー産地の訪問、現地での買い付けを担当している。 古いもの、道具好き。カレーは毎日でも食べたい。 美味しいコーヒーの良いところは日々に光を与えてくれるところ。飲む人にも。そして携わる人にも。 コーヒーを通じて日々の暮らしの豊かさを考えていく提案を行っている。
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